Special : Megurine Luka Birth Anniversary'12

"デジタルでどこまでアナログを再現できるんだろ?
同じ歌いまわしじゃそれはつまらないし、伝わらないかな"

生演奏、それも呼吸を合わせその場で音をやりとりするような空気感を追い求める。
そこに流れるオレジナルPさんのバックグラウンドや、楽曲制作の楽しみ方とは。

オレジナルP

主なVOCALOID作品:

sequence of love, 夏の迷路, Rainbow Connection, もうそこにはない恋のうた, マリオネット(アレンジカバー), 1925(アレンジカバー) etc...

作業環境:

シーケンサー:Cubase SL2

音源:Addictive Drums, Trilogy, Garritan Jazz & Big Band, RealGuitar, Miroslav Philharmonikなど

そのほか機材・楽器:エレキギターはよくVader氏(mylist/16940177)にご協力いただいています

ヘッドホン・アンプ:HD650

LINK:

http://www.nicovideo.jp/user/506385

http://twitter.com/mio__mio

今回インタビューしたオレジナルPさんの
作品はこちら

Lunalight Serenade / オレジナルP

リリース日:2012/01/30

ordinary day's music / オレジナルP

リリース日:2012/01/30

こんにちは。まず、プロフィールを教えてください。

はい、緊張しますねコレ。初めましてオレジナルPと申します。2008年の2月に初めてニコニコ動画にミク曲の動画をupしたから、2008年デビュー組ですね。ちょうど4年経とうとしています。その後は悠々自適に活動を続けて、今に至っています。

オレジナルPさんといえばJAZZの印象ですが、昔からJAZZが好きだったのでしょうか?

音楽を始めたのが中学2年生で、その頃はRockとかJ-Popしか聞いていなかったからバンドスコアとにらめっこして家に転がっていたギターやピアノを爪弾くだけでした。それからベースに興味を持ち始めて。何だかバンド全体を支えていると言うか支配している、って感じたのでしょうね。

大学に入ったら音系サークルに入るってベースやるぞ!って決めていて、どの音系サークルかは特に決めていなかったのですが最初に勧誘された軽音楽部に入部して。でもよく見ると「軽音楽部」の下にちっちゃく「Jazz研」って書かれていたんですね。んで、「ベースやりたいです」って言ったらウッドベースを渡されて。でも意外と性に合っていたみたいで、ウッドベースをボンボン弾いてバンドを引っ張るのも楽しいな、って。

Jazzを聴き始めたのも演奏し始めたのも大学に入ってからなんですよ。ただサークルに入ってJazzの音楽理論とかを勉強していくうちに、メロディやコード進行やアレンジの組み立て方が有機的に絡み合いながら頭で整理できるようになったと思います。

楽器演奏はされますか?

幸いご縁あって大学卒業後もベース演奏のお仕事をいただいています。楽器始めた当初はJazzを聞いたことなかったから、先輩によく指導されて…「お前の4beatはまるで盆踊りのようだ」って。バックビートが弱いことへの揶揄ですね。それでも必死で続けた甲斐あって、今も演奏活動ができています。

オリジナル曲(オレジナル)を作るきっかけはなんでしたか?また、現在の作品作りのポリシーは?

ボカロに興味を持つ前もJazzのライブで演奏するインスト曲は幾つか作っていました。ただ歌モノは全く作ったことがなくて、インスト曲のメロディも割と機械的と言うか無機質な感じが多くて。ボカロを使った歌モノの楽曲作製に興味を持ったのは、youtubeに転載されていたkzさんの「Packaged」を聴いて、「あ、これは何かスゴイことが起きているな」と思ったのがキッカケですね。

当時はDTMの知識ゼロだったから、リバーブもコンプも何も掛かっていないベタ打ちミクがラララと歌うのが精一杯で。ミクのイラストも何も持っていないから真っ暗な動画を作って。その動画(「煌く未来に(sm3234861)」の原曲)をニコニコに投稿したのが2008年の2月、その動画に「よし、まずはピアプロに登録しようか」ってコメントが付いていて、ピアプロの存在を知りました。そこで知り合って、今でも繋がりのある友人もいますし、そのコメントとピアプロにはとても感謝しています。

DTM始めたきっかけが「デジタル(打ち込み)でどこまでアナログ(生演奏)を再現できるんだろ?」って思ったことだったので、今でも殆ど打ち込みで曲を作っています。それでも各楽器が「せーの」で一緒にスタジオで演奏しているような、例えばピアノが盛り上げようと強めのバッキングを入れたら、それを聞いて呼応するようにドラムがフィルを入れる…みたいなやり取りを曲の中に詰め込められるよう、アレンジの際は意識しています。オケだけで聞くとそういう涙ぐましい試行錯誤にも気付きやすいかも…。

デジタルでアナログを再現、ってコンセプトはボカロでも活きています。感情を込める、感情がこもっているように聞かせる。1番と2番でメロディは一緒でも歌詞は違うのだから、伝えたい部分も違うわけで、同じ歌いまわしじゃそれはつまらないし、伝わらないかな、と思っちゃうんですよね。だからボカロ打ち込み(私はよく「調声」や「レッスン」って表現しています)もかなり手を掛けているつもりです。それこそ64分音符一つの長さで色々変えてみて、そのメロディと歌詞に対して自分なりにベストの音価を探しています。

一口に作曲をすると言っても、そこにはメロディや詞を書いて、コード進行を考えて、楽器を入れて、歌って、mix、マスタリング…と多くの工程があるわけで、それぞれを見渡して管理するプロデューサーってポジションには元々憧れていて。「このボカロの声にはこういう楽器や曲調が合うんじゃないか」って観点で曲を考えることが多いのもそういった憧れから来ているのかな、と思っています。

アレンジ(オレンジ)もよく手がけられますが、どんな風に制作されていますか?

「オレンジ」って呼び名をご存知なのは驚きました、私自身照れてしまって使わなくなったので(笑)。

それはさておき、好きな楽曲を聴いていると、メロディだけの丸裸な状態にして、このメロディにこういうテンポで、こういうリズムで、こういう和音に乗せてみても面白いんじゃないか、ってふと思うんですよね。原曲のテンポ、リズム、コード進行が一番魅力的なのは勿論ですが、このメロディに別の魅力を付加させることが出来るんじゃないか、って。

例えば「マリオネット」では原曲よりもテンポアップして、Jazzの4beatの颯爽とした感じが出るようにアレンジしました。Aメロの「人は何故造られて 何を求め彷徨うか」って部分のメロディとテンポは上手くマッチングしたんじゃないかなと思っています。サビがちょっと早口になり過ぎた感はありますが…(汗)。

それから「1925」で顕著ですが、途中で曲の雰囲気をガラっと変えるアレンジも好んで使用します。Jazzが好きな人が聞いたらニヤリとするような仕掛けを入れるのが好きなんですよ。4/4拍子から2拍3連を経て6/4拍子に移行する、またはその逆、って仕掛けはJazzセッションの丁々発止としたやり取りの中でもよく起こるので、それを曲中で再現したくて。

積極的にコラボも行われていますが、特に心に残る出来事は何ですか?

「マリオネット」アレンジのあたりから、色々な方にお声掛けいただけるようになったのですが、その中でも冨田悠斗くん(T-POCKET氏) からアレンジの依頼を受けた「恋する君を見ていた (sm9534077) 」は動画を投稿する最後の最後まで必死だったから思い出深いですね。毎回長文メールでやり取りして、「間奏のギターソロ新しく弾いて!」「サビの歌い方ちょっとクネらせすぎじゃない?」「(九藤)咲織さんのイラスト滾る!」「オケファイルのzipどこのローダーにupする?」…曲のやり取りだけならともかく、「今日は◯◯食べてきました!」「今日は寒いからお身体には気を付けて!」みたいな文通状態で。そのうち使い慣れてきたskypeでも朝まで雑談チャットしては翌日の仕事に支障を来たすなど、ネット文明を得たばかりの頃のようなはしゃぎっぷりでした。

彼には「sequence of love」で歌詞を依頼したこともありまして。サビの最初のフレーズ(I'm singing of love~)は私がメロディを考えていたときに一緒に浮かんだ歌詞だったから、そこだけ残してあとは全部お任せしますって、結構放り投げもいいところな依頼をしちゃったのですが。彼の得意とする作風…斜に構えながら少しダーティな言葉遊びに長けた感じの歌詞が来るのかなと思ったら、とても繊細で心情描写の巧みな歌詞が届いて思わずニヤリとしました。

『Lunalight Serenade』はどんな作品でしょうか。

図らずもordinary~とは緊張と緩和のような位置付けになりましたね。この曲では緊張感や攻撃性を重視した音使いを意識しています。元々アップテンポで激しい曲を作るのが苦手なので、一度作ってみたいなぁと思ったのがきっかけです。ルカが声を張り上げて歌う感じを出したかったのもあります。

楽器の編成はアコースティックだけど演奏は危ういくらいアグレッシブで…個人的には「Jazz Punk」って勝手なジャンル付けをしています。間奏でオーソドックスな4beatに移行しますが、そっちの方が落ち着いた演奏になっている気がしますし(笑)。

歌詞はtoyaさん(mylist/4849873)にお願いして書いてもらいました。「もうそこにはない恋のうた(sm14781085)」の作詞も彼ですが、とにかく恋愛の機微の表現に長けた詩人さんで、歌詞に共感を覚えるリスナーさんも多いですし、きっと経験豊富なのかと!

カップリング曲の「BITTERSWEET SOUL」はストリングスとピアノだけで、一見するとバラードでありがちな編成ですが、こちらもかなり攻撃的なサウンドになっています。ストリングスなのに全然柔らかくないですからね。

『ordinary day's music』についても教えてください。

上述の通り、こちらはカップリング曲の「郷愁サンバ」も合わせて2曲ともリラックスできるような音作りを意識しています。こちらはもう得意な曲調ですから、フルートやアコーディオンも慣れたものです。歌詞は涼風Pさん(mylist/2843180)にお願いしました。氏の前向きな姿勢が現れた素敵な歌詞だと思います。

カップリング曲の「郷愁サンバ」は何よりタイトルが最初に浮かんだ曲で、漢字2文字+カタカナってタイトルを1度作ってみたかったんですよ(笑)。

こうなったらいいなぁという夢はありますか?

もっとKarenTから多くのPさんが作品発表をするようになるといいなと思っています。まさかiTSやAmazonに自分の作品が並ぶなんて夢にも思っていませんでしたし!

これからの活動予定を教えてください。

特に目立った予定はないのですが、これからも自分の好きなように曲作り出来ればと思っています。それから大好きな絵師さんが沢山いるので、その方のイラストのテイストに合った曲を作る、みたいなコラボレーションをやりたいなぁ、と。元々ordinary~も雪駄さんのイラストからインスピレーションを受けて作った曲ですし、あんな感じで。

最後に、皆様へメッセージをお願い致します。

こんな飽きっぽい私がストレスやトラブルなく4年間続けられたのも、皆様のお陰です!もうそんなに若くないから新しい音楽を作る感性が私には残っていないかもしれませんが、これからも自分がイイと感じた音楽を作っていきたいと思っています!

ありがとうございました!